ブラジルサッカーはなぜ強いのか?
国民的スポーツ
サッカーは間違いなく、ブラジルの国民的スポーツで、ブラジルの文化として根付いています。
国民の多くが、子どもの頃からサッカーボールに触れる機会があり、遊びといえばサッカーが定番です。サッカーではなくても、フットサルやビーチサッカーという形で、サッカーに関わっています。
サッカーはブラジルでは、宗教のようだと言われ、誰もがサッカーについて語り、熱いのです。彼らの興味関心の多くは、サッカーに注がれます。
ブラジルに行ってみて目にするのは、誰もがそこら中でボールを蹴っている光景です。
サッカー場や公園だけでなく、住宅街の通りや、ビーチでも。
ブラジルでは、ストリートサッカーといって、年齢関係なく誰もが自由にサッカーをしています。
人数がそろって、ゴールがあってという環境ではなくても、ボールを蹴りあって遊んでいるのです。サッカーチームに入っていなくても参加できますし、シューズがなければ裸足でプレーします。
ストリートサッカーには大人も子どもも参加するため、体格や技術レベルの異なる人たちが一緒にプレーすることになります。そのため、体格的に不利な子どもや、サッカーを始めたばかりの初心者は、上手い大人のまねをして技術を盗み、またそんな相手をいかに出し抜くかを工夫してプレーすることになります。
そういった積み重ねで、頭を使ってプレーすることを覚えたり、ボールを扱う技術を身につけていくのです。
つまり、誰もがサッカーをできる環境にあり、ストリートサッカー(遊び)をとおして、子どものころから技術を磨いているです。
トレーニング環境
ブラジルには、サッカークラブが豊富に存在します。
そして古くからのサッカー強豪国ゆえ、経験豊富な指導者が多く、質のいい指導が受けられる環境が整っています。
高い素質を認められた選手は、有名サッカークラブに引き抜かれ、スター選手として育成されるというチャンスもあります。
ブラジルというと、貧しい国というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、ブラジル経済は成長傾向にあり、中流層の人口が増え続けています。実際、貧困層より中間層の人口のほうが多くなっています。 そのため、子どもをサッカークラブに入れたり、トレーニングを受けるだけの金銭的余裕がある国民も多く存在します。
同じようにストリートサッカーが存在するアフリカの国々では、素質のある選手はスカウトされて育てられても、そうでなければ自らお金を払って技術を磨いていく資金力があるのは極一部の人たちです。
指導環境が整っていること、そしてそのトレーニングを受ける資金力があることが、高いレベルを持つ選手を育てています。

ハングリー精神
貧富の差の大きなブラジルですが、貧困層の選手でも、サッカー選手となって活躍することで、大きな成功をおさめ、貧困からも抜け出すという一つの成功ルートがあります。
そして、それを証明してきた偉大な選手たちがいるのです。
世界で活躍する有名選手の中には、ファベーラ出身のサッカー選手もいます。彼らにとって、サッカーが唯一の現状打開への道。そう思って、人生をかけて戦っています。
そのような環境で戦う選手のハングリー精神ははかり知れません。
また、ブラジルには優れたプレーヤーが多いため、目立っていくにはその中でも抜きん出なければなりません。また近隣には、アルゼンチンやウルグアイなど強豪国がそろっています。
そういった意味でも、常に良選手に囲まれてプレーするブラジルの選手たちは、その中で勝ち上がっていこうというハングリー精神をいつも持っているのです。
サッカーで成功することで貧困から抜け出そう、強い選手の中で勝ち上がって成功をおさめようというようなハングリー精神が、ブラジル選手をさらに強くしています。