加速する韓国人選手のJリーグ入り
アジア各国にはサッカーリーグがあるが、その中でも最もレベルが高いと見られているのがJリーグだ。最強リーグで通用する選手を輩出するアジアの国は限られる。中東のサウジアラビア、UAE、カタールなども対象になるが、日本とは交流が少ないうえ、向こうはオイルマネーで潤っており選手の年俸が高い。
最近はJリーグのブラジル人選手が相次いで中東のリーグに引き抜かれているように、こちらから選手が行くことはあっても来ることは現状では考えられないのだ。
オーストラリアもアジア枠に入るが、この国のトップ選手はヨーロッパ志向が強く、高年俸を提示しないと来てくれない。
となると残る選手供給源はお隣の韓国ということになる。だが、韓国にはKリーグというプロリーグがある。母国のKリーグを蹴ってまでJリーグに来る理由は何なのか。
韓国はサッカーが盛んな国といわれるが、実は国民が盛り上がるのは代表戦であって、Kリーグはあまり人気がない。観客の入りが悪いためクラブの財政も苦しく、トップ選手の年俸も400万円前後といわれる。加えて新人選手がプロ入りする時はドラフトがあって、望みのチームに入れるとは限らない。だったらJリーグの有力クラブでプレーした方がいいというわけだ。
また、Jリーグに来る韓国人選手はキャリアアップ志向が強いといわれる。世界的名門クラブである英国マンチェスター・ユナイテッドでレギュラーを張ったパク・チソンという韓国人選手がいた。彼は京都サンガでプレーした後、オランダ・PSVを経てマンチェスターU入りを果たした。韓国サッカー界が生んだ最高のヒーローといえる。
韓国代表としてW杯で好プレーを見せることも、ヨーロッパのクラブから声がかかるきっかけにはなる。が、パク・チソンのようにJリーグという外国のリーグで揉まれ活躍することも実力をアピールする有効な方法。サッカー選手としてのステップアップにつながる。現在Jリーグにいる韓国人選手も「第二のパク・チソン」になることを目指してプレーしているのだ。
一方、日本のクラブも日本人選手並みの年俸で韓国代表クラスの好選手が獲得できる。このように双方の思惑が一致していることから韓国人選手が増えているのである。距離も文化も近い韓国。これからも代表では永遠のライバルであ利続けるであろう韓国だが、Jリーグでは、まさに頼りになる相棒である。
